インプラントと入れ歯の違いって?知っておきたい13の事

歯が抜けてしまった・歯の治療をしなければいけない。そんなときみなさんはインプラントと入れ歯どちらを選択しますか?

この2つの治療は失ってしまった歯を補うという意味では同じ治療内容になりますがメリットやデメリットが大きく異なります。

インプラントか入れ歯か現在悩んでいる方は是非参考にしてみてください。

インプラントと入れ歯の違いで知りたい13の事

1. 手術の必要性

インプラント治療と入れ歯治療で大きく違ってくる点に手術の必要性が挙げられます。インプラントには手術が必要とどこかで聞いた事はありませんか?

インプラントを行うには顎の骨とインプラントのボルトを結合させるため骨の中にボルトを埋めなければいけません。その際に小手術を行う必要があるのです。小手術は大手術のように全身麻酔を使用せず局所麻酔だけで行います。もちろん手術に対してリスクのある高血圧や糖尿病などの既往歴がある患者さんの手術にかかわらずモニターで患者さんのバイタルを計測しながら手術を行います。インプラント手術は麻酔をかけてから手術終了まで1時間〜2時間程度で終了します。

近年はインプラントを埋める方向を事前に機械でシュミレーションでき、ガイドラインを作成してから手術を行う歯科医院もあります。事前シュミレーションとガイドラインの作成により早ければ麻酔をしてから15分程度でインプラント手術が終わることもあります。

一方、入れ歯治療では手術が必要ないです。どうしても手術をしたくない・できないという患者さんには入れ歯治療の方が向いています。

2. お口の状況

インプラント治療ができるかできないかを判断する一つに患者さんのお口の状況が関係してきます。まず、インプラントを埋めるために十分な顎の骨の厚みがなければいけません。顎の骨に厚みがあるかをチェックするにはCTで撮影を行います。CTは骨や歯を立体的に観察でき、患者さんのお口の見えない部分も見ることができるのです。

また、インプラントにすれば歯周病にならないと思っている方が多いですがそれは間違いです。インプラントにすると「インプラントの歯周病」である「インプラント周囲炎」を発症するリスクがあります。インプラント周囲炎を発症しないためにはしっかりと歯磨きを行わなければいけないので、患者さんに残っている歯がきれいに磨けているかも判断材料になります。

入れ歯治療を検討する場合でもお口の状況は大切です。入れ歯治療でも顎の骨の厚みは大切になってきます。この理由は顎の骨の中に神経が走っているからです。もし、骨が薄くなっている上に入れ歯を作り入れ歯を噛んだ勢いで神経が圧迫されてしまえば患者さんは痛みを訴えてしまいます。入れ歯に緩衝材を設けるなど対処できるので入れ歯治療においてもお口の状況はしっかり見ていかなければいけません。

さらに入れ歯でも部分入れ歯を作成すると残っている歯に金属のバネをかける必要があります。残っている歯が丈夫ならバネをかけても問題ないのですが、グラグラして今にも抜けそうな歯だとバネをかけてしまえば歯に負担になります。入れ歯は比較的自由に口の中で設計できるので残っている歯の状態を加味しながら入れ歯の設計を作成していきます。

3. 治療できる患者さんとできない患者さん

インプラント治療は治療ができる患者さんとできない患者さんがいます。前述の「顎の骨が薄い患者さん」は骨を増やす処置を行えばインプラント治療ができます。

では、一体どのような患者さんがインプラント治療をすることができないのでしょうか。それは、持病のある患者さんです。

インプラント治療ができない場合がある代表的な疾患は次のようなものがあります。

インプラント治療ができない場合がある疾患の例
骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨がもろくなってしまう病気です。顎の骨が薄くなるのとは別で、骨の密度がスカスカになってしまうのでインプラント手術をした後の予後が悪くなってしまいます。
肝硬変
肝硬変の患者さんは「アルブミン」という血液中のタンパク質を合成できなくなってしまう状態で、同時に血液を固めさせる因子も合成できなくなっています。結果的に肝硬変の患者さんは出血があると血が止まりにくくなってしまうのです。インプラント手術では出血が伴うので肝硬変の患者さんは治療しにくくなります。
糖尿病
糖尿病の患者さんは血糖値のコントロールができていないことが多いです。血糖値がコントロールできないと免疫力が低下する傾向があります。インプラント手術は無菌に近い状態で行われますが細菌感染のリスクはゼロではないです。また、一度切った歯茎や骨が回復することでインプラントのボルトと骨が結合していきます。治療遅延の原因にもなるので糖尿病の患者さんは注意が必要です。
心筋梗塞
心筋梗塞の患者さんは発作から半年以上たたなければ歯科治療ができません。発作後半年以内の患者さんは必ず担当歯科医師へ相談するようにしましょう。
入れ歯治療で治療できる患者さんとできない患者さんというのは明確に決まっていません。しいて挙げるなら嘔吐反射(喉元に何か異物が入ると嘔吐する反射)が強い人や顎の骨が極端に薄い患者さんです。

4. 治療期間

治療期間もインプラントと入れ歯では大きく違ってきます。インプラントは手術をしてから骨とボルトが結合するまで待たなければいけません。

結果的に半年程度手術後に期間を設けてインプラントが実際に口の中に入るまでは1年弱かかってしまいます。

入れ歯治療は3か月程度とインプラント治療に比べると治療期間が短くて済みます。入れ歯治療では入れ歯を作るために歯型や口型を作製するだけで歯科技工士が入れ歯を作っている期間待てばいいので数ヶ月という時間で治療が完了します。

5. 治療費用

インプラントは高くて入れ歯はそこまでしないと思っている人は多いです。その根底にあるのは保険診療ができるかできないかということになります。保険診療が適用されれば患者さんは実費の3割負担で済みます。

インプラント治療は保険診療適用外になっているため10割負担になり、結果治療費が高額になるというわけです。

しかし、入れ歯も保険診療適用内の入れ歯よりかは自費診療で作製する入れ歯の方が耐久性や強度、見た目などが良いです。患者さんの中で自費診療の入れ歯を作成して何十年と使っていきたいと考えている人には自費診療の入れ歯を作製します。

そうするとインプラントと同額もしくはインプラントよりも高くなることもあります。

6. 治療後のアフターケア

インプラントも入れ歯も治療が終わればそれで終了というわけではないです。アフターケアをしなければすぐにダメになってしまいます。インプラントは治療後にしっかり磨けているか、綺麗な状態を保つことができているかが重要になります。もしインプラント及び口腔内を不潔にしているとインプラント周囲炎を引き起こすリスクがあるからです。インプラント周囲炎は歯周病のように骨を溶かしていき、インプラントと骨の結合も緩くさせてしまいます。インプラント周囲炎になるとインプラントがグラグラしてきてしまい最終的には抜けてしまうのです。

インプラント周囲炎になっているか、現状でリスクがどれくらいあるのかを判断するために患者さんには定期的に歯科医院へ通ってもらいレントゲン撮影やぐらついていないかチェックをする必要があります。

入れ歯は完成してからも噛み合わせの調整が必要です。患者さんの噛み合わせは安定するまで一定期間必要になりその間に幾度となく不都合が生じやすいです。安定した噛み合わせにするために複数回来院していただくのとともに入れ歯の管理方法が適正かというのも指導していきます。入れ歯は管理を患者さんに一任する治療です。入れ歯の管理方法や清掃方法についても治療後の通院で指導していきます。

7. 治療途中のリスク

インプラントは手術が必要になり治療途中にリスクがつきものです。中でもインプラントを骨に埋めてから、ボルトと骨が結合するまでの間に治癒遅延が起きるリスクや手術の際に顎の骨の中を走っている神経や血管を傷つけてしまうリスクがあります。

一方、入れ歯治療はリスクが少ないです。入れ歯が完成するまでに患者さんが関係するのは型取り程度なのであとは歯科技工士さんをはじめ歯科スタッフの技量に任せられるというわけです。

8. 耐久期間

インプラントと入れ歯を比べたときには入れ歯の方が耐久年数が短いとされています。その理由は保険診療の話に戻りますが入れ歯は壊れやすい材料を使って製作するからです。さらにインプラントとは違って患者さん自身で取り外しが可能な入れ歯は落下する危険性もあるのです。入れ歯を落としてしまうと割れてしまい本来の耐久年数より早く使えなくなってしまいます。

インプラントはアフターケアをしっかり行えば10年、20年は平気で持ちます。初めてインプラント治療をした方でも50年ほど前でデータが十分ではないですが50年間はインプラントが保つことがわかっています。

入れ歯は保険診療外の入れ歯であれば金属を使って作製できるので通常の入れ歯よりかは耐久性が強いものが出来上がります。

9. 見た目

インプラントと入れ歯を比較してみて見た目が良いのはインプラントです。その理由として入れ歯は全ての歯を一塊にして作製しますが、インプラントは1本ずつの作製となるからです。インプラントは歯の色も細かく指定でき残っている歯や患者さんの希望する歯の色に合わせた見た目にできます。

中でもインプラントの被せ物にはジルコニアセラミックやオールセラミックなど見た目が自然な歯の色になるものを使用できます。

10. 残っている歯への影響

インプラントも入れ歯も自分の歯が残っている場合に適用できます。インプラントは欠損している歯を1本ずつ確保できるので残っている歯への影響は少ないです。

入れ歯は部分入れ歯になれば金属のバネを残っている歯にかけて入れ歯を固定します。どうしても金属のバネがかかっているところは綺麗にしにくくなるので虫歯のリスクが高くなります。また金属のバネには噛む力と一緒に入れ歯を固定するための力もかかり、残っている歯に強い力をかけ歯が弱くなりやすいです。

現在は残っている歯に影響を与えないように入れ歯と残っている歯を磁石で固定する入れ歯も存在します。しかし、これらは自費診療の入れ歯です。

11. 年齢制限の存在

インプラントは10代の患者さんには適用できないことが多いです。理由は顎の骨が成長している途中だからです。一度骨とボルトが結合すると顎の成長に影響を与えてしまうので10代のうちはインプラント治療を見送ることが多いです。

入れ歯治療は年齢制限がありません。10代の成長途中でも成長に合わせて入れ歯を作り直して使用していきます。

12. 治療できる歯科医院について

インプラントと入れ歯は治療できる歯科医院が異なります。歯科大学では歯科医師の基本事項として入れ歯の作製方法について教えますがインプラント治療に関してはある一定年齢以上の歯科医師には教えていないのです。インプラント治療について詳しく勉強したい歯科医師は講習会や勉強会へ参加する必要があります。

インプラントは標榜していてもしっかりと実績や経験がない歯科医師では難しくなります。入れ歯は基本的にどこの歯科医院でも治療できます。ただし自費診療で良い入れ歯を作製したいと考えている人は入れ歯を専門的に勉強した歯科医師のもとで治療を受けるようにしましょう。

13. 使ってみてどう違うか

入れ歯とインプラントを実際に使用してみるとどのような違いを感じるでしょうか。入れ歯は歯茎の上に装着します。歯茎の上では保持が難しく天然歯(自分の歯)と比べれば60%程度でしか噛むことができません。

インプラントは骨とボルトが結合しているので自分の歯のように噛むことができます。100%までとは言いませんが90%近くの力で噛めるので入れ歯と比較すれば力強く噛むことができます。

さらに入れ歯の歯茎部分は多孔性と行って見えないほど小さな穴が空いています。多孔性の材料は水分や細菌を多く取り入れやすくなっていてインプラントに比べると口の中に細菌が増えやすい環境になります。

入れ歯は個人での管理が中心になるのでしっかりと清掃・管理する必要が出てきます。

まとめ

インプラントも入れ歯も無くしてしまった歯を回復させるには最適な治療法です。患者さんのニーズや健康状態など様々な観点から最適な治療法を選択する必要が出てきます。

インプラントも入れ歯も一長一短あることを十分に理解するようにしましょう。

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