KNOWLEDGE14

新型コロナウィルスが依然として猛威を振るい、世界中が非常事態に陥っています。未知のウィルスで治療薬がないために、不安や恐怖を感じている方もいらっしゃることでしょう。
感染症の対策として、私たちが日常生活の中でできることは「予防」と「免疫力のアップ」です。
少しでもお役立ていただけましたら幸いです。

そもそも感染症とは?

感染症とは、病原性の微生物が人体に侵入することによって引き起こされる疾患のことを言います。私たちの身の回りである空気中や土、水、また動物や人など、あらゆるものに多くの目に見えない微生物(細菌、ウィルス、カビなど)が存在しています。その中に、病原性の微生物も含まれます。
病原性の微生物が人間の体内に侵入し、定着し、増殖すると感染します。感染しても、症状が現れる場合と、現れない場合があります。今回の新型コロナウィルスでも問題となりましたが、症状が現れない感染者は、知らないうちに感染を広める可能性があります。

感染症対策その1
「予防」

感染が起こるには、まず病原体が人間の体内に侵入するところから始まります。ですから、侵入をシャットアウトすることが、第一の対策です。主な感染経路には、次の3つがあります。

接触感染
病原体に汚染された物、手指、食品などに触れることで、主に口から体内に侵入します。感染者と握手をするような直接的な感染や、手すりやドアノブ、スイッチやボタン、机、椅子など、手を触れる物を介して間接的に感染する場合があります。

予防法
手が触れる物をこまめに消毒することと、手洗いです。また、手で口や目、鼻など顔周りを無意識に触ることでも感染します。粘膜や血液、体液を通して感染するのも接触感染です。その予防のためにもマスクは有効です。

飛沫感染

咳やくしゃみ、会話中に飛んだつばやしぶきに含まれる病原体を吸入することで引き起こされる感染です。つばやしぶきが届く距離は感染源から1~2mと言われています。

予防法
人との距離を2m以上とったり、マスクを着用しておくことが予防になります。
また、今回の新型コロナウィルスによって、「咳エチケット」も話題となりました。マスクをしていない状態で咳が出そうになったら、ハンカチや服の袖で口を覆いましょう。手で覆うと、その手が感染源となります。

空気感染

つばやしぶきに含まれていた病原体は、水分が蒸発すると空気中に浮遊して、広範囲に広がります。それを吸入することで感染することを空気感染と言います。

予防法
閉鎖した空間にいることで感染する可能性が高くなりますから、窓を開けるなど換気をして、空気を入れ替えることが大切です。

※マスクの正しい使い方

感染予防にマスクをする意味は、次の2つの目的があるからです。

① つばやしぶきを飛ばさない
② 汚染された手で口や鼻を触らない
② 汚染された手で口や鼻を触らない

この2つの目的をきちんと果たすために、正しくマスクを使いましょう。

装着時

マスクは鼻から口まで、できるだけ広く覆うようにつけましょう。鼻の両脇を軽く押さえて、できるだけ顔に密着させるようにします。

外すとき

耳にかけたゴムの部分を持って外します。口を覆っている広い部分(特に外側の部分)には、病原体が付着している可能性が高いので、触らないようにします。捨てる時も、ゴムの部分を持ったまま捨ててください。マスクを外した後は手を洗いましょう。

使用中につけ外しするとき

マスクをつけているときにちょっとお茶を飲む、というようなときに、マスクをあごに下げる人を見かけますが、これはよくありません。マスクの上げ下げの時に手に病原体が付着する可能性がありますし、あごの部分に病原体が付着していたら、マスクに移って結果的に口に運ばれることになります。ちょっと外したいときは、片側の耳からゴムを外し、用事が済めばゴムの部分を持って耳にかける、というようにしましょう。
また外したマスクをどこかに置く、という場合も注意が必要です。できればマスク専用の入れ物で保管したり、再度装着するまえに消毒スプレーを使ったりすると良いでしょう。

感染症対策その2「免疫力」

免疫力とは、体内に侵入した細菌やウィルス、また体内に発生したがん細胞などを撃退する自己防衛システムです。免疫は2段構えのシステムとなっていて、ウィルスなどの侵入を防ぐ「粘膜免疫」と、侵入したウィルスを攻撃する「全身免疫」があります。
粘膜免疫は、目、鼻、口、腸管などの粘膜で働きます。病原体などの異物が、粘膜から侵入するのを防ぎ、体外に排出して感染を防ぎます。
それでも体内に侵入し、増殖して「感染」してしまったら、全身免疫が働きます。全身免疫はリンパ節や脾臓、血液中などで活躍し、病原体を捕らえて排除するように働きます。
ですから、免疫力が高ければ、感染症にかかりにくくなり、たとえかかったとしても重篤化しにくくなります。

ところが、現代人の免疫力は低下してきていると言われます。その原因には、睡眠時間が短くなっていること、食事が偏っていること、運動不足などがあります。また、除菌や殺菌できる製品が増え、衛生環境が良くなったことで、雑菌に触れる機会が減っていることも、免疫力低下の要因の一つと考えられています。
さらに交通網が発達したことで、人や動植物などが簡単に広範囲に移動できるようになり、感染が急速に拡大しやすくなりました。新型コロナウィルスが世界的に感染拡大したのも、このような理由からです。現代は感染症にかかりやすい環境になったと言えるかもしれません。

免疫力を高める方法

免疫力を高めるには、日常生活の中で次のような点に気を付けると良いようです。

バランスの良い食事

免疫力を司る免疫細胞の多くが腸内にあります。腸内の善玉菌が優勢であれば、免疫細胞の働きもよくなります。ですから、食物繊維を多く含む野菜をしっかりと摂りましょう。また免疫細胞を作るためのたんぱく質もきちんと摂らなければいけません。

睡眠時間の確保

睡眠不足は、免疫力の低下につながります。睡眠中に成長ホルモンが分泌され、免疫物質を生成したり、古くなった細胞を作り替えたりします。特に眠り始めの3時間に、深い眠りについていると成長ホルモンが多く分泌されます。
深い眠りにつくためには、体温を上げておくと良いため、就寝の1時間前に入浴し、30分前に首元を温めることをお勧めします。

適度な運動

日常的に運動をし、血流を良くしたり体温を上げたりすることで、免疫力を高めることができます。ただし、ハード過ぎる運動は体にストレスとなって逆効果です。ウォーキングやジョギングなど、軽く汗をかく程度の運動がお勧めです。また室内でもかかとの上げ下げをしたり、縄跳びの要領で“エア縄跳び”をしたり、あるいは椅子に座った状態でも足踏みや腕の上げ下げをするなど、意識して体を動かしましょう。

楽観的に考える

強い不安感や緊張感が続くと、自律神経のバランスが崩れます。すると脳からストレスに反応してステロイドホルモンや神経伝達物質が分泌され、免疫細胞である白血球の働きが低下してしまいます。楽観的に考える癖をつけることも、免疫力を高めることになります。

笑う

笑うと免疫細胞であるナチュラルキラー細胞が活性化するというデータがあります。「ワハハ」とお腹から笑うのが一番いいのですが、笑顔になるだけでも効果があります。作り笑いでも免疫力が上がったという報告もあります。日ごろから笑顔を心がけましょう。また、一人で笑うよりも誰かと一緒に笑う方が、楽しい気持ちも膨らみます。家族、友人、地域の人などと積極的に関わって、笑顔になれる機会を増やしましょう。

口腔ケアをする

口の中には様々な菌が生息していて、通常はバランスを取りながらうまく共存しています。ところが不衛生になり細菌が増えすぎると、一部の細菌が作り出すプロテアーゼなどの物質が、粘膜免疫の働きを邪魔してしまいます。また、食物と一緒に飲み込まれた細菌が腸で吸収され、腸内細菌のバランスを壊し、免疫力の低下を招きます。歯磨きや歯科医院での検診で、お口の中をきれいにすることも、免疫力アップに欠かせません。

これらの対策で感染のリスクがなくなるわけではありませんが、
私たちの健康と生活を守るため、私たちにできる努力を続けましょう。