インプラント治療には興味があるけど、高額だし私には贅沢では・・・と、躊躇されている患者さんがいらっしゃいます。
確かに歯を失った後の治療には、保険診療内でできるブリッジや入れ歯もあります。治療費だけを比較すれば、インプラント治療を選択することは贅沢なように感じるかもしれません。
しかし本当にそうでしょうか？治療費とその価値について、考えてみましょう。
贅沢とは？
そもそも、贅沢とは何でしょうか。なぜ贅沢と感じてしまうのかを考えてみましょう。
辞書によると「贅沢」とは、
- ①必要な程度を超えて物事に金銭や物などを遣うこと
- ②限度やふさわしい程度を超えること
と説明されています。
つまり、自分にとって必要以上なもの、自分にふさわしい程度以上のもの、であると感じたときに、人は「贅沢」だと感じるようです。
では、インプラント治療は自分にとって必要以上の治療でしょうか。
その判断は、患者さん一人ひとり違っていると思います。どのような治療効果を求めているのか、価値観や生活環境などによって、捉え方や考え方が違います。判断は患者さん個人にお任せするしかありませんが、以下のようなインプラント治療によって得られる価値をよく考慮して判断していただきたいと思います。
インプラント治療は、インプラント体という金属をあごの骨に埋め、骨と結合させてその上に人工歯を固定します。骨に支えられているので、自分の歯と同じようにしっかりと噛めるようになります。動いたりずれたりといった不具合がありません。また、違和感がなく、自然に使えます。
またブリッジや入れ歯は、残った自分の歯に支えられて使うので、その歯が悪くなるという悪循環を起こすのに対し、インプラントは周りの歯に負担をかけないので、残った歯を守る治療でもあります。
最大の特徴は、あごの骨を痩せさせないということです。ブリッジや入れ歯は、骨に直接噛む刺激を伝えることができません。すると、あごの骨は徐々に痩せていってしまいます。これは、歯を支えるという骨の役目がなくなったことにより新陳代謝がうまく働かなったためと考えられます。インプラント治療の場合は、インプラント体を伝って噛む刺激を骨に伝えるため、骨が痩せることはほとんどありません（骨の代謝異常がある方、インプラント周囲炎などの病気の場合などを除きます）。
インプラント治療をすると、このような多くのメリットを享受できます。
インプラント治療はなぜ高額なのか？
しかし、治療費が高額であることは、やはり否めません。
インプラント治療が高額になるのは、上記のようなメリットが含まれているからですが、それだけではありません。
インプラントはあごの骨に埋めて使います。体内に入れますので、体に悪影響のないものでなければいけません。
また、あごに埋めるために手術を行います。当然ですが、安全性や技術力が高いことが求められます。専門的な知識と技術を持ったスタッフによって、一人の患者さんの治療に当たります。
さらに、インプラント治療は患者さん一人一人の症状に合わせたオーダーメイドの治療です。保険診療の場合は、いわば万人に通用するような平均的な治療法が定められていて、そのルールに則って診療が行われます。しかし自由診療であるインプラント治療は、患者さんの体質や生活環境、細かい症状に合わせて、最適な材料や手順、薬などが選べます。
こうした安全でオーダーメイドな治療によって多くのメリットが得られることが、治療費に反映されているのです。
「贅沢」の別の考え方
さて、ここで少し違う観点から考えてみましょう。
贅沢の意味について、辞書での説明は先に触れました。
しかし、私たちはそれ以外の意味でも贅沢という言葉を使っていないでしょうか。
例えば、日ごろ頑張っている自分にご褒美をあげることがありますよね。
もしくは、ワンランク上質なものを手に入れて、自分自身のステイタスをランクアップさせよう、と考えることもあるでしょう。
このように、時に贅沢をすることで私たちの心が満たされる、ということがあります。
上質なものを手にすると、便利で快適であるだけではなく、心地よさや満足感、さらには感動を得られます。
人生を豊かにしてくれる、と言っても過言ではないでしょう。
インプラント治療は高額ですが、それは私たちに感動を与え、人生を豊かにしてくれる贅沢です。あるいは投資、と言ってもいいでしょう。
誰でもない、ご自分のこれからの人生が、不具合に悩まされることなく、快適で充実したものになるのですから、可能であれば良い意味の贅沢は私たちの生活に必要なものではないでしょうか。
そういう一面もあることを考えて、インプラント治療をご検討いただければと思います。
